イベント実施のご報告 : R&Dサロン #4: 技術予測

2024年2月28日(水)に「R&Dサロン #4: 技術予測」を実施いたしましたので、ご報告いたします。

当協会では、R&D部門における人材開発担当者を対象に、昨今の最新知識を身につけると同時に、各社の取り組みや問題意識を共有するために、R&Dサロンを企画しております。

第四回目は、「技術予測」というテーマで国立大学法人滋賀医科大学バイオメディカル・イノベーションセンター 特任教授の小笠原 敦氏を講師としてお招きし、開催いたしました。

当日は、前半は小笠原講師によるご自身の経験談を交えながらの講義、後半は参加者の方々と議論を行いました。

【小笠原講師の講義のサマリ】

  • 技術予測とは
    • 世の中には、十数年後のネタがもう既に転がっている。そのネタをどんな風に使っていくのを考えるのが重要。必ずしも新しいものがいきなり発生するわけではない
    • 上記の観点から必ずしも新規技術に拘る必要はなく、既存技術の組み合わせで新しい技術を生むという発想でもよい
    • 実際に新しいものではなく、古くからあるが、その使い方に気づいていないことが多い
    • その『兆し』を捉えて、シナリオプランニング(課題解決型シナリオプランニング)をすることが重要。あらゆる場合を想定しておくことが重要。想定外はあってはならない。失敗についても十分、考えておく

  • 今、求められるもの(成長戦略第2ステージの課題)
    • 最大の鍵は第4次産業革命技術の社会実装(IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット)
      • 潜在需要を開花させる新たな製品・サービスの創出
      • Society5.0の実現。「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の⾼いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会。」(第5期科学技術基本計画)

  • 人間はAIの進化に追いつけないのか?
    • AIの進化とともに人間の脳の能力も拡張されていくことが確認されている。なので、追いつく、追いつかないの議論よりも、どう活用するのかを考えることが重要
    • 将棋の藤井聡太八冠を例に考えるとわかり易いが、先人の知を効率的に学習したAIソフトを使って学習することで、認知限界の拡大を果たしている
    • 現在のAIは学習したデータの範囲内では能力を発揮するが、全く新しいデータの無い空間への外挿は困難。そこに人間の能力の価値がある

  • 今後の社会経済、科学技術の発展の方向性
    • 20世紀はtangible assets(有形資産)を中心とした資産収益による経済発展が主であった(Thomas Pikkety)
    • 2000年代に入り、急速に情報・データ、知識・知能等、Intangible Assets(無形資産)の価値が増大
    • 情報・データ資産、知識・知能資産収益による経済発展が主になる(米国ではGoogle、日本ではソフトバンク等の企業が株価時価総額の上位を占める)
    • ハードウェアの研究開発とともに、情報・データ、知識・知能資産形成に資する科学・技術の発展が求められる
    • 人間の能力を上回る情報・データ処理能力、知識・知能を持つ人工物の発展に対応する人間の能力の可能性の増大、identityの確保が重要となってくる

【議論した内容から一部抜粋】

  • サービス化とビジネスについて
    日本は「もの」にはお金をとるが、付随する「サービス」については、無料でつけてしまいがちである。サービスはお金をとることが重要。欧米のいうサービスはパッケージであるが、日本はおもてなしでお客様の言うことに沿って都度対応することになってしまい、そこが効率の悪さになっている

  • 「水」に関する注目度も実は高い
    • 例えば、サントリーが世界中の水を調査した。ヒマラヤは、ヒ素濃度が高くて飲用には使えない。また、ゴルフ場が近くにあると農薬がまじってしまう。そのため、サントリーは自分たちで森を作った
    • 水割りがおいしくなる水の分子構造の研究もある
    • 水の分子の構造で腐食の具合が変わってくる。冷蔵しないで保存できるかもしれない。
    • 水にまつわる基礎研究は非常に多いし、ビジネスのネタになる。基礎研究がいつからか化ける可能性がある

実施後、参加者様からは「『技術予測』に限らず、未来予測の本質的な考え方に触れることができ感銘を受けました。」「興味深い情報にあふれており、多くの気づきがあった。」などのご意見を頂きました。その後の懇親会も大変盛り上がりました。

本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

一般社団法人日本イノベーション協会
事務局
高橋佑季

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