2023年12月6日(水)に「R&Dサロン #3: R&D部門におけるAI、IoT、データサイエンス教育」を実施いたしましたので、ご報告いたします。
当協会では、R&D部門における人材開発担当者を対象に、昨今の最新知識を身につけると同時に、各社の取り組みや問題意識を共有するために、R&Dサロンを企画しております。
第三回目は、株式会社GRIと共催で「R&D部門におけるAI、IoT、データサイエンス教育」というテーマで当協会の岩田およびGRI社の片山 裕太講師、ヤン・ジャクリン講師をお招きし、開催いたしました。
当日は、前半は3名の講師による講義、後半は参加者の方々と質疑応答をしながら議論を行いました。
【岩田の講義のサマリ】
<R&D部門にとっての『DX人材育成』とその論点>
- 「専門家だから他のことはわからない」が許されない時代になってきている
- 現在、『AI技術者』があらゆる分野に乗り込んでいる
- 技術者は、デジタルスキル習得に圧倒的に有利
- 「データをとる」、「分析する」習慣
- 基礎的な数学の素養
- 必要があれば、コードも書く(英語もやる)
- 新しい「ツール」を使うのに抵抗が少ない
- なのに実際は、微妙な雰囲気。技術者がデジタルスキルを身につけるときのネックは、なまじ「できる」だけに素直に学べなくなってしまうこと
- 5-6割、理解できる(既に、知っている)
- 多分、こうに違いない
- 自分としては…(自論 / 持論)
- 初学者とは異なる『学習のコツ』がありそう(目的・ゴール設定、アンラーニング、PBL等)
- 問題解決の手段としてのデータスキルを身につけることが必要。テクノロジーを知らないことで、実現できることのイメージが狭くなる、発想ができなくなってしまう
- データサイエンス、AI、IoTを学ぶにはどうするべきか?
- データを見ておもしろいと思う、あれこれ考える、実際に工夫して見る(例 : ランニング、睡眠)
- 手を動かす、作る楽しみ(例:LEGO、スクラッチ)
- 一回、きちんと全体を勉強する(例 : G検定)
【ヤン講師の講義のサマリ】
<データの『活用方法』の学び方~ データサイエンスの全体像、BIツールの使い方>
- そもそも、データサイエンスとは
- データサイエンスとは、データからインサイト(価値ある情報)を抽出する学問
- シンプルに言えば 「個々の観測対象から、集団の性質を抽出する技術」
- データの収集、整理、加工、解釈、測定、計算、モデリングなどを行う
- データサイエンスは複数の学術分野の集合体である
- 業務の専門知識、プログラミング、数学・統計など多角的な知識・技術を組み合わせて、ビジネスや社会に利用する
- 社内でデータ活用人材を具体的にどのように育成できるのか?
- 稼げる即戦力人材を目指す
- データサイエンスとビジネス、データサイエンスとエンジニアの領域を担う人材をつくる
- 理論や概念にとどまることなく、実践・実装が担える人材をつくる
- 下記を考慮しながら具体的なアプローチを探る
- どのような業務に、どのようなデータを活用したいのか?
- 育成対象の現時点での知識・技術のレベルは?
- 目標とする職種・役割とは?
- 社員教育のリソースはあるのか?
- 稼げる即戦力人材を目指す
- データサイエンスの全体像
- 下記の事項はビジネスパーソンとして「自分の言葉で説明できる」ようになっていただきたい概念
- データサイエンス
- AI
- 機械学習
- データ加工
- データ活用の法律
- 下記の事項はビジネスパーソンとして「自分の言葉で説明できる」ようになっていただきたい概念
- BIツールの活用
- BI(Business Intelligence)とは?
- Businessに役立つIntelligence(知見)を引き出すこと。様々の種類のデータを、効率よい手段で、一括管理する、整理する、分析する
- BIツールは「データに基づいた迅速・的確な意思決定」を理念の掲げているため、非専門家であってもある程度自ら可視化分析できる機能を備えている
- BIツールを選定する際には「どの機能を重視するか」を意識し、製品の性格をまず理解することが重要
- BI(Business Intelligence)とは?
【片山講師の講義のサマリ】
<データの『取得』から『実装』まで全体像を理解する~ AI、IoTの基礎、プロジェクトの基礎>
- デジタル人材の育成において、IoT・AI技術はどのように学ぶのが効果的か?
- デジタル技術はその使われ方と共に学ぶ(教科書的に学んだ知識は何に適用するかに壁がある)
- 身近な課題を見つけ、手を動かす(良い課題設定にはその現場の価値観が大切)
- できるだけ小さく始める
- 小さな成功体験の獲得に集中する
- 初めから完璧なものを作ろうとしない
- 事例の紹介(プロジェクトワークの取り組み。実際の研修のデモ画面、ディバイスを見せながら)
【質疑応答から一部抜粋】
- 研修の教材に使うプログラミングコードを生成AIで作るのはOKか?
→研修は商用目的なのであれば、著作権侵害を起こすケースがある。誰でも書ける簡単なコードであれば著作権侵害にならないことがほとんど。十分な創作性が認められる他人のコードに類似している場合はNG(著作権侵害にあたる) - (デジタル技術の教育は)持論や先入観があり、凝り固まっている人に対しては難しいのではないか?
→(ご支援しているお客様の一例では)基本的には挙手制にしている。トップダウンで(IoT・AIの研修に)きてもらってというのは難しいと思う。受講するのはその人自身に(デジタル技術に対する)課題感がある人が多い。特にベテランの人に対しては(デジタル技術の教育は)難しい。新しいことに興味がある人は参加するが、どうしても若手中心になってしまう。中堅以上にも(IoT・AIの研修を)受講してほしいが、どう仕向けるかは難しい
今回は、専門性の高いテーマでしたが、データサイエンス教育の実際の研修で使っているプログラムのデモ画面や、ディバイスを見せながらの説明は、参加者のみなさまも興味津々のご様子でした。
実施後、参加者様からは「データサイエンス人材に必要な知識と生成AIの著作権に関する理解ができた」などのご意見を頂きました。その後の懇親会も大変盛り上がりました。
AIの技術は日々進歩しており、R&D部門においても「AI、IOT、データサイエンス教育」は必須となってきています。テクノロジーの知識を用いて「発想の幅」を広げたい、新しい商品・サービスの開発に使える「武器」をほしい方は、ぜひご相談ください!
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一般社団法人日本イノベーション協会
事務局
高橋佑季