イベント実施のご報告:イノベーションセミナー #3: イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」という人材

2025年1月29日(水)に「イノベーションセミナー #3: イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」という人材」を実施いたしましたので、ご報告いたします。

現在、日本イノベーション協会では、多くの企業で取り組んでいる『新規事業』、『イノベーション』について、その経験やスキルを共有する機会を提供しています。イノベーションセミナーでは、『イノベーションを起こす』ことに関するプロジェクトの推進経験のある方に、プロジェクトを推進する際の苦労や成功体験、『イノベーションを起こす』ために重要なことについてお話していただいています。

第3回目のテーマは「イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」という人材」です。今回は当協会の理事であり、株式会社Yokogushist代表取締役の伊能 美和子氏と当協会代表 岩田の対談を通じて、イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」という人材について議論しました。当日の様子について報告いたします。

はじめに、当協会代表理事の岩田より、本イベントの趣旨と進行の説明をさせていただきました。その後、伊能氏より「新規事業開発の取り組み事例と「ヨコグシスト®︎」という存在」についてお話いただき、その後、「イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」の役割とキャリア」についてパネルディスカッション形式で、当日、参加者様よりいただいたご質問も交えながら、伊能氏と岩田で対談をいたしました。

下記に、本イベントのサマリーをご報告いたします。


新規事業開発の取り組み事例と「ヨコグシスト®︎」という存在

  • 伊能氏のキャリアと事業開発:
    NTTグループで20年以上、社内起業家として通信インフラを基にした事業開発を行った。2017年に役職定年を迎え、2020年から本格的にセカンドキャリアを開始。コロナ禍で働き方が変わり、社会課題解決を目指す人や会社を支援するために独立。現在、社外取締役も含めて、複数の企業やプロジェクトに関わっている。自身のキャリアを振り返ると大企業にいたときから自分の職場を選び、積極的に交渉してきた。現在も後輩が続けているサービスがある。
  • イノベーションと現代の働き方の変化:
    • イノベーションとSNSの活用についての考察。シュンペーターの新結合の概念や、SNSを活用した競合分析等、これからの世の中では今ある断片的な情報を統合して、新しい価値に素早く「結びつける」発想、スキルが必要
    • バウンダリー・スパナーの役割とその重要性について。異なる業界や組織をつなぐ人材の必要性(これがヨコグシスト)
    • 両利きの経営の重要性。深化と探索のバランスを取ることが企業の成功に繋がる。多くの日本企業ではこれまで深化にリソースが偏っていて、探索が後回しにされているように見える
    • 社外取締役としての視点の重要性。会社を外部からの視点で見ることの価値を感じている。社内の人ではわからないことは多い
    • 現代の働き方の変化について。会社と個人がパートナーとして協力し合う時代になった
    • 副業やパラレルキャリアの推奨。多様な経験が新しい結合を生む可能性がある
    • イントラプレナーとしての経験の重要性。社内での起業は、スキルを磨く場と同時に新たなポジションの獲得につながる
    • テレワークやリモートワークの普及によって働き方の柔軟性が増し、地方での経験がイノベーションに繋がるのではないか
    • 共感力とコミュニケーション能力の重要性。異業種間での対話を通じて新しいアイディアを生む力が求められる

パネルディスカッション(という名のぶっちゃけトーク) – イノベーション創出における「ヨコグシスト®︎」の役割とキャリア

  • 人と人とのつながりの大切さ:
    昔は、何か困ったことがあると、誰かが「ちょっと待って」と言って他の人を紹介し、気軽に集まって話し合うことで問題を解決していた。こうした「おせっかいで気を使える人」が活躍していた。しかし、会社の評価システムが変わり、「決められた仕事だけをやれば評価される」ようになってから、そういう人が少なくなってしまった。
  • ジェネラリストとスペシャリスト:
    ジェネラリスト(広く浅く知識を持つ人)は、実は「結合」という専門性を持ったスペシャリストとも言える。ジェネラリストは「横串」を通すように、いろんな分野をつなげる役割を果たせるため、価値が高い。また、会社の中だけで評価されることにこだわらず、副業やボランティアを通じて、自分のスキルと人脈を広げることが重要である。特に、地方での活動がキャリアの幅を広げるのに役立つ。
  • 会社の中での新規事業の難しさ:
    大企業で新しい事業を立ち上げるとき、以下のような壁がある。
    • 「100億円規模でないとダメ」と最初から大きな結果を求められる
    • 「新規事業が軌道に乗ったころに、自分が会社の都合で異動させられる」ことがある
    • また親会社都合で、事業撤退を余儀なくされることもある
    • こうした問題を避けるために、親会社からの資金だけに頼らず、外部の投資も受けた方がいい
  • 女性こそ新規事業に向いている:
    女性にとって、新規事業は良いキャリアの選択肢である。その理由は以下のとおり。
    • 大企業の中で、新規事業は柔軟な働き方がしやすい
    • 既存の組織のしがらみが少なく、自由に動きやすい

企業や様々な場面において、「ヨコグシスト®」の存在が重要であることがよく分かる内容でした。また、「ヨコグシスト®」になるために、仕事以外でもあらゆる経験がその糧になることが理解できました。

実施後に参加者からいただいたお声として、「仕事で日々感じていることやこれからのことなど、色々考えを整理するきっかけとなり、とてもためになりました」、「伊能さんのお話から、『これまでの自分の経験から、自分に何ができるのかという自分のゴールを考えてみよう』と強く思いました」、「積極的に越境していくことの具体を聞くことができて実行に移してみようと背中を押されました」とのご意見をいただきました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

今後とも継続的にセミナーを実施していきますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

一般社団法人日本イノベーション協
事務局
高橋佑季

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