イベント実施のご報告:社内起業家セミナー #4: 「人の繋がり」をテーマにした新規事業について話そう

2025年1月15日(水)に「社内起業家セミナー #4: 「人の繋がり」をテーマにした新規事業について話そう」を実施いたしましたので、ご報告いたします。

現在、多くの企業では、『新規事業の創出』が経営上の課題となっています。専門部署の設立、新規事業提案制度等の社内での施策が進められている一方で、新規事業創出に向けてチャレンジして、実際に立ち上げたことのある経験者のお話を聞く機会は多くありません。

本セミナーでは、実際に、大手企業で新規事業の立ち上げに取り組んでいる2名の方をゲストにお招きしてアイディアの発想から、社内起業のきっかけ、どのように事業を立ち上げているのか、そこでどんな経験をされているのかお話をお伺いします。

今回は、サントリーホールディングス株式会社 北垣様、株式会社モルテン 勝田様をゲストに迎え、「人と人を繋ぐ」新領域の事業にチャレンジするご経験についてお話いただきました。

はじめに、当協会代表理事の岩田より、本イベントの趣旨と進行の説明をさせていただきました。その後、北垣氏、勝田氏より「それぞれの新領域開拓ストーリー」をテーマにお話いただき、その後、「「人の繋がり」をテーマにした新規事業について話そう」についてパネルディスカッション形式で、当日、参加者様よりいただいたご質問も交えながら、対談をいたしました。 下記に、本イベントのサマリーをご報告いたします


自己紹介 & それぞれの新領域開拓ストーリー

《スピーカー:北垣 歩武 氏 (サントリーホールディングス株式会社)》

  • 北垣氏のキャリア
    • 2011年にサントリーホールディングスに入社し、エンジニアとして工場建設、パッケージ開発に従事し、その後M&A支援などを担当
    • 2022年から未来事業開発部に所属し、スタートアップ投資(CVC)や新規事業開発を担当
  • 「アバター・ダイニング・ラボ」の設立と目的
    • サントリーと大阪大学発スタートアップ「AVITA」との共同事業として発足
    • 外食産業における深刻な人手不足を解決するため、アバター技術を活用した遠隔接客サービスを開発
    • 遠隔地のスタッフがアバターを通じて接客することで、新たな雇用機会を生み出し、人件費削減やシフト安定化を実現
    • 飲食店にエンターテインメント要素を加え、顧客体験向上と売上増加を目指す
  • 実証実験の展開と成果
    • 大手飲食チェーンで試験的に導入し、効果を検証
    • 2023年に東京・新橋の「ミライザカ」では、モニターを設置し、アバターを使った接客やミニゲームを提供
    • アバターによる接客と配膳ロボットを組み合わせた実験を実施
    • 結果として、客単価が約5%向上し、人手不足の解消に貢献する可能性を確認
    • メディア露出が増加し、アバター接客の認知度向上にも成功
  • Vチューバーとのコラボレーションと共同事業を検討中
    • 2023年後半、渋谷でVチューバーを活用した実店舗運営を試み、話題を集める
    • 人気Vチューバーを接客アバターとして起用し、飲食イベントを実施
    • 短期間でチケットが完売するなど、ファン層の熱量が高く、高い収益性を確認
    • 2024年以降、飲食業向けのアバター接客事業を一旦休止し、Vチューバー関連事業に特化
    • エンターテインメント業界やマーケティング分野でのアバター技術活用を進め、より大きな市場展開を図る

《スピーカー:勝田 駿平 氏 (株式会社モルテン

  • モルテンの新規事業へのアプローチ
    • モルテンはスポーツ用品を製造・販売している企業だが、近年の新規事業では従来の価値とは異なる切り口での事業創出を検討している
    • その一環として、「feel the emotion」というリブランディングを行い、スポーツを通じて人々の感情を揺さぶり、人生を豊かにするというメッセージを伝えている
    • 社会課題への対応を重要視しており、環境面や経済的な問題によりスポーツにアクセスできない人々にも目を向け、これを改善するための取り組みが進行中
  • 社会課題への取り組み:沖縄での活動
    • 広島出身でエンジニアとしてのバックグラウンドを持つ自分(勝田氏)が、モルテンの新規事業に関わることになり、特に沖縄での活動に注力している
    • 沖縄では、地域に根付いた活動を目指して、地元NPOと連携して一般社団法人を設立。不登校や社会的に孤立する子どもたちに対して、スポーツイベントや企業訪問などを通じて多様な体験の機会を提供している
    • コロナ禍を契機に、スポーツの価値を再定義し、沖縄でのバスケットボールワールドカップ開催をきっかけに、地域に残る「レガシー」を意識した事業を構築
    • 沖縄の相対的貧困率の高さ、非正規雇用の課題などを背景に、貧困の連鎖を断ち切るためには体験の提供が重要であると認識し、子どもたちの選択肢を広げるための活動を実施
    • 同時に、大人たちも社会課題への意識を高め、地域の問題解決に貢献するマインドを育むための仕組み化が重要と感じている
  • NPOとの協働とスポーツによる体験提供
    • 沖縄のNPO法人ちゅらゆいとのパートナーシップを結び、非日常的な体験を提供することで、子どもたちが新しい選択肢を持てるようにすることを目指している。イベント運営に子どもたちも積極的に参加し、スポーツを「する」「みる」「ささえる」それぞれの立場から成長の機会を提供
    • さらに、大人たちにも社会課題に対する理解を深めてもらうため、企業とNPOが相互に補完し合いながらイベントを開催することで、異なる立場の人々が共同で働く経験を積むことができる
  • 継続的な支援体制の構築
    • 子どもたちの成長に伴い、単発的な支援ではなく、継続的にサポートできる体制の重要性を感じている
    • そのためには多様なリソースを持ち合わせている企業や行政の参画を、より一層推進していく必要がある
    • 子どもたちが将来的に社会に出る際、どのように自立するかを見据えた活動を行い、そのために必要な経営資源を募ることを目指している

パネルディスカッション(という名のぶっちゃけトーク) – 「「人の繋がり」をテーマにした新規事業について話そう」

  • ベンチャー企業と大企業の違い
    ベンチャー企業と大企業で働く中で、意思決定のスピードの違いや、個人の決断力が求められる点に違いを感じている。ベンチャー企業では迅速な意思決定が求められ、個人の判断が重要になる。その一方で、関係者を巻き込む難しさもあることを実感している。大企業では、組織的な調整が求められる場面が多いという点も挙げている。
  • 企業の利益と地域貢献の両立
    自社のビジネス活動と地域貢献をどのようにバランスよく進めていくかが、今後の大きな課題だと感じている。企業の利益を追求しつつ、地域社会に貢献する活動を展開することが、社会的責任を果たす上でも重要であり、この両立をどう実現するかが、彼の今後の仕事において重要なテーマとなっている。
  • 外部リソース活用と事業開発の難しさ
    外部リソースをうまく活用することが事業開発において重要である一方、そのリソースと自社の強みを結びつけることに難しさを感じている。事業開発の初期段階では、外部との連携をどのように進めるかが大きな課題となり、戦略的な選択が必要だと考えている。
  • 社内リソースを活用した競争優位の確保
    自社の競争優位を確保するために、社内リソースを効果的に活用することが重要だと感じている。しかし、その一方で、外部リソースとのバランスを取ることや、社内の強みをどう活かしていくかが、事業開発の進行を左右するポイントとなると考えている。

「人の繋がり」をテーマにした新規事業は独特のむずかしさとやりがいがあることがよく伝わる内容でした。
参加された方からは「原体験からの誰かの「不」を解消したい、という気持ちが大切だと思えました。社内起業の動きを加速できるよう、引き続き頑張ります」などのお声を頂戴しました。
ご参加いただいたみなさま、北垣さん、勝田さん、ありがとうございました!

今後とも継続的にセミナーを実施していきますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

一般社団法人日本イノベーション協
事務局
高橋佑季

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