
2026年5月19日(火)に「R&D部門における新規研究テーマ探索の企画・推進者情報交換会」を実施いたしましたので、ご報告いたします。
本イベントは、三菱ケミカル株式会社、日本化薬株式会社、理想科学工業株式会社のR&D部門における新規研究テーマ探索の企画・推進している方々にお集まりいただき、その取り組み、課題意識を共有し、情報交換を行い、ネットワークを築くことを目的としたものです。
はじめに弊社代表の岩田より、進行の説明をさせていただきました。その後、各社よりR&D部門における新規研究テーマ探索についての説明および課題についての説明を行い、質疑応答を行いました。
内容としては下記のようなものがあがりました。
- 課題に感じている点
- 事業部R&DとコーポレートR&Dの乖離
- 両者の間には、時間軸・ビジネスインパクト・不確実性の許容度において大きな差があり、未知なる将来に向けてどのように準備を進めるべきかが課題となっている
- 研究者の視点・スキルの不足
- 新規テーマとなりうる研究シーズを自ら提案できる研究者が少ない。事業化を見据えた視点で新規テーマを探索できる人材の育成が急務であり、研究開発現場から継続的にテーマが提案される仕組みも不足している
- 研修効果について
- 研修中は議論が活発になるものの、部署に戻ると元の状態に戻ってしまうケースが多く、効果が限定的にとどまっている
- 探索活動の構造的な問題
- 探索活動の目的が曖昧になりがちで、テーマが技術起点に偏る傾向がある。また、テーマの評価・選定基準も明確でなく、外部技術や外部連携を十分に活用できていない。その結果、新規研究テーマの探索が「新しいネタ探し」にとどまり、事業戦略・商品戦略・技術戦略と十分に結びついていないことが多い。R&D部門では、どうしても「自社技術で何ができるか」という発想が起点になりやすいという構造的な問題もある
- 事業部R&DとコーポレートR&Dの乖離
- 質疑応答の中で具体的に情報交換したもの
- テーマ探索と事業ポートフォリオ
- 事業部R&DとコーポレートR&Dはどちらも新規事業の種の発掘を行っており、収益性が重視される。数は一定量出てくるものの、ビジネスとして成立しにくい質のものも含まれる。また、新しい種のドメインが偏らないかという点については、基本的には注力事業領域と関連するテーマが中心となっている
- 社内の意思決定プロセス
- 出てきた新規テーマは研究所長会議に諮り、承認されれば経営会議での検討に進む。経営陣はいつ頃・どの程度の利益が見込めるかを重視しており、10年・20年先といった長期スパンになると、途中で頓挫するケースが多い。創業シミュレーション研修を実施した際には盛り上がりを見せ、事業化の検討も行われたが、そこで止まってしまった事例もある
- 社内技術開発とM&Aの棲み分け
- 社内での技術開発とM&Aをどのように使い分けるかについても意見交換が行われた
- アカデミアとの連携
- 共同研究における課題として、費用と人材の提供は求められる一方で、研究テーマの主導権は大学側が持つケースが多く、コントロールの難しさがネックになるという意見があった
- 人材育成・キャリア
- 0から1を生み出せる人材の発掘・育成については、まず提案を出させることから始め、指導を繰り返すことで徐々に提案の質が向上するという実践的なアプローチが共有された。研究者のキャリアの積み方や、研修の効果がいつ・どのように現れるかについても議論された
- テーマの事業化・引き渡し
- 発掘した種を事業化する方法については、ステージゲートを導入している企業の事例が紹介された。一方、新規事業の引き渡し先が見つからないという課題も挙がった
- 記録・ナレッジ管理
- 新規事業提案の記録・保存については、ここ数年でデータを残し始めた企業もある。研究データの管理は進んでいるものの、成功例・失敗例、特に「なぜやめたのか」という失敗の経緯が共有されにくい状況が続いている
- トレンド把握
- 技術・市場トレンド情報の追いかけ方についても情報交換が行われた。
- テーマ探索と事業ポートフォリオ
議論も盛り上がり、お互いアドバイスもしあい、大変盛り上がりました!その後の懇親会でも仕事からプライベートの話まで、様々な情報交換をされていました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
本記事に関するご質問やコメント、疑問に感じた点がございましたら、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
一般社団法人日本イノベーション協会
事務局
高橋佑季
